「ちゃんと」を手放したら、心が少し軽くなった話
完璧を目指しすぎた日々
シングルペアレントとしての日々は、本当にやることがたくさんあります。仕事、家事、育児、手続き関係、地域とのつながり。どれもこれも、「ちゃんと」こなさなければという気持ちに追われがちです。
特に私は、周りから「きちんとしているね」と言われたい、あるいはそう思われたいという気持ちが強かったのかもしれません。子供のために栄養バランスの取れた食事を毎日手作りしなければ、部屋は常に片付いていなければ、学校の準備も完璧にさせて送り出さなければ。そういった「ちゃんと」の基準を、無意識のうちに自分で高く設定していました。
もちろん、それは子供のためを思ってのことでしたし、自分自身も納得してやっていました。でも、現実はいつも時間との戦いです。仕事から帰って、慌ただしく夕飯を作り、子供の学校の話を聞き、明日の準備を確認して、お風呂に入れて、寝かしつける。それが終わると、今度は溜まった洗濯物や洗い物、明日の自分の仕事の準備などが待っています。
いつも何かに追われている感覚で、心に余裕がなくなっていきました。些細なことで子供に強く当たってしまったり、寝る前に今日の反省ばかりしてしまったり。疲れが溜まっているのに、やらなければいけないことリストは減りません。休日も結局は平日にできなかった家事を片付けるのに精一杯で、休んだ気にはなりませんでした。
「このままでは続かない」と感じた瞬間
そんな日々を送っていたある日、子供が少し体調を崩しました。熱は高くなかったのですが、保育園や学童に預けられる状態ではありませんでした。幸いパートだったので、その日は仕事を休むことができましたが、看病をしながらも、頭の中では「明日の夕飯どうしよう」「溜まっている書類の整理いつしよう」といったことばかり考えている自分がいました。
子供は隣でしんどそうにしているのに、私は心ここにあらず。そんな自分の姿を見て、「これは何かが違う」と強く感じたのです。子供の笑顔や体調よりも、「ちゃんと」家事ができているか、仕事に支障が出ないか、ということばかり気になっている。このままでは、一番大切なものを見失ってしまうのではないかという怖さが募りました。
そして、ふと気づいたのです。「ちゃんと」って、誰のためのものだろう、と。周りの誰かに評価してもらうため? それとも、自分自身のプライドのため? いずれにしても、それが自分と子供を苦しめているなら、一度立ち止まって考える必要があるのではないかと思いました。
「まぁ、いっか」の魔法
そこから、少しずつ意識を変えてみることにしました。まずは、食事です。毎日手作りで栄養満点、というのは諦めました。惣菜を買う日、冷凍食品を活用する日、レトルトカレーの日。そういった「手抜き」を自分に許すことにしたのです。最初は少し罪悪感がありましたが、子供は意外にも喜んでくれたり、「今日のこれ美味しいね」と言ってくれたりしました。完璧でなくても、一緒に食卓を囲む時間の方が大切なのかもしれない、そう思うようになりました。
掃除も、「完璧に」はやめました。毎日全ての部屋をきれいに、ではなく、気になったところだけサッと掃除する、週末にまとめてざっくりやる、という風に基準を緩めました。多少ホコリが溜まっていても、死ぬわけではありません。部屋がピカピカじゃなくても、子供と笑って過ごす時間の方が、ずっと豊かなのだと思うようにしました。
一番大きかったのは、「できないこと」を認められるようになったことです。一人で全てを抱え込まず、時には実家や友人、公的なサービスに頼ること。そして何より、自分自身の休息を優先すること。「疲れたな」と感じたら、無理して家事を頑張るより、少し横になる時間を作るようにしました。
心が軽くなると、見えてくるもの
「ちゃんと」を手放して、少し手を抜く勇気を持てるようになってから、心が少しずつ軽くなるのを感じています。時間に追われる感覚が減り、子供との時間をもっと大切にできるようになりました。完璧ではないけれど、これでいいんだと思えるようになりました。
もちろん、今でも「これでいいのかな」と不安になることもあります。でも、完璧を目指して自分を追い詰めていた頃よりは、ずっと穏やかな気持ちでいられます。肩の力を抜いて、「まぁ、いっか」と思える瞬間が増えたことが、何よりの収穫かもしれません。
子育ては本当に大変で、頑張りすぎているシングルペアレントの方もたくさんいらっしゃると思います。でも、完璧な親なんて、きっとどこにもいません。少し手を抜いても、お惣菜に頼っても、部屋が散らかっていても、私たちは十分頑張っています。自分自身を責めず、自分にも優しく、「まぁ、いっか」という言葉を自分にかけてあげてほしいと思います。
このリアルな日常が、同じように頑張る誰かの息抜きや、「自分だけじゃないんだ」という共感に繋がれば嬉しく思います。